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DAVID DAVID英国発「デイヴィッド デイヴィッド」デザイナー
デイヴィッド・サンダース:進化をたどる「形と色」

デイヴィッド デイヴィッド・デザイナー
デイヴィッド・サンダース


EDiT 2017年版に、ロンドン発のポップなデザインブランド「DAVID DAVID(デイヴィッド デイヴィッド)」とのコラボレーションによるユニバーサルな魅力あふれるカバーデザインが登場しました。 ブランドを率いるのはダイナミックな幾何学模様と弾むような色づかいで知られるアーティスト/デザイナーのデイヴィッド・サンダースさん。彼が多くの作品で表現している多種多様なパターンは、いったいどこからやって来るのでしょう? それを探るべく、デイヴィッドさんのスタジオを訪れました。


【テキスタイルは刺激的なキャンバス】

英国らしいトラッドでクールな若手メンズファッションブランドの路面店がひしめくブルームズベリーの一画に、デイヴィッド・サンダースさんのスタジオはありました。作業机の上には、赤・黄・黒・オレンジ・グリーンといった色とりどりの可愛らしいジェリービーンズをのせた白いお皿が。おもてなしのおやつにさえ彼らしい感性が見て取れる空間のいたるところで、色彩と形が踊っているのです。

力強いラインとカラーグラデーションによる幾何学模様が得意。2007年のブランド設立以来、「フレッドペリー」や「ルイ・キャトルズ」といった人気有名ブランド、「ヘンリー・ホランド」などの若手実力派ファッションデザイナー、「スタジオママ」や「グラスヒル」などエッジーなインテリアブランドとのコラボレーションを実現してユニークな存在感を見せつけてきたデイヴィッド デイヴィッドの出発点は、テキスタイルのためのプリントデザインでした。

「ドレスのためにプリントパターンを考えたりするのは本当に面白い。ファッション業界は大好きで、今後はもっと大規模なコラボレーションをしていけたらと思っているんだ。ただ僕のプリントデザインと相性のいいデザイナーと組むことは必須。たとえばビクトリア・ベッカムとの相性はいいと思う。彼女はただのポップスターじゃない。素晴らしいデザインセンスを持っているよね」

【潜在意識の奥底から生まれてくるもの】

幾何学模様の出どころは? と聞くと、デザインのベースになっているのは、自身が手描きするドローイング作品だという答えが返ってきました。「絵は毎日描いているよ」と見せてくれたのは、息をのむような緻密で繊細なパターンを手書きした、驚くべきアート作品の数々。その抽象的なデザインパターンゆえに “未来的” な印象さえ受けるデイヴィッドさんのプリントデザインですが、ベースになるというドローイングは多くの有機的な曲線から成っていて、受ける印象はむしろ“土俗的”な何か。地球に深く根ざした先住民族の人々に伝わるアート言語のような……。

【ステーショナリーの普遍性を表現】

今回のコラボレーションで採用されたデザインバリエーションは3種類。ブルーを基調としたもの、ゴールドとシルバーのモノトーン風、そしてピンクを配した遊び心あるデザインで、どれもデイヴィッドさんらしい力強くシンプルなパターンと新鮮な色づかいが目を引き、均等なリズム感に心地よさを感じます。

今回のコラボレーションを「とても楽しんだ」というデイヴィッドさん。

「似たヴィジョンを持っていたので、コミュニケーションもスムーズでよく分かり合え、素晴らしかった。パーフェクトなコラボだったね」。

「ブランド名の由来? 周りにたくさん『デイヴィッド』という名前の人たちがいたんでね、のっぽのデイヴィッドとか、どこそこのデイヴィッドって風にそれぞれ呼ばれるけど、僕はデイヴ デイヴと呼ばれていた。それでもう少しシリアスな感じを出して、“デイヴィッド デイヴィッド”にしたんだ」。