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2017年「春の手帳を選ぶ」ということ文具王・高畑正幸氏の目からウロコの「春の手帳論」

春の手帳にかぎらず、この時期にモノを選ぶということには、「新生活」という言葉がキーワードになることが多いようです。今回、高畑さんが春の手帳を前にして語るのは、単なる手帳選びの話ではありません。手帳を上手に仕事や生活に活かす方法、上手に付き合う方法です。これを読めば、今までとはまったく異なる視線で、手帳を選ぶことになりそうです。

文具王:高畑正幸さん

文具王:高畑正幸さん

1974年香川県丸亀市生まれ。テレビ東京の人気番組「TVチャンピオン」全国文房具通選手権に出場、1999年の第2回、2001年の第3回、2005年の第4回大会にて3大会連続優勝を達成し、「文具王」の座につく。文具メーカー「サンスター文具」では商品企画とマーケティング部に所属。2012年にサンスター文具を退社後、同社とプロ契約を結ぶ。きだてたく氏、他故壁氏とともに、文具トークユニット「ブング・ジャム」を結成。さまざまな文具イベントやWEBサイトで活動を行っている。
マークスの直営店「グラフィア横浜店」の「M’s Select curated by Masayuki Takabatake」コーナーには、高畑さんが選んだ100点以上の文具がラインアップ。好評を博している。


【ライフスタイルに合わせて手帳を見直す】

みなさん、今年の手帳は続いていますか? 年末にはわくわくしながら手帳を購入し、年始にはまっさらなページを開いて今年こそはやるぞ!と意気込んでいたはずなのに、気がつけば手帳を開くのもなんだかちょっと後ろめたい、「なんだかうまく使いこなせていないぞ」という方、本当は少なくないはずです。

でも大丈夫! 文房具店の手帳売り場はそんな人にも優しく「4月始まり手帳」を揃えて待っています。今年も2ヶ月あまりが過ぎ、このシーズンは年初に立てた目標を見直すよいチャンスでもあります。初志貫徹も素晴らしいことですが、状況に合わせて柔軟に対応するのも重要です。1月始まりの手帳がどうしても続かなかった人は、もう一度、手帳を自分のライフスタイルと合わせて見直してみてはいかがでしょう。

【時間の単位と情報量の変化】

とくに、「去年までは問題なかった手帳が最近うまく合わないな」と思ったら、もしかしたらそれは自分が変化したり、成長したということかもしれません。

何年も同じ手帳を淡々と続けている人はある意味あこがれるし、素敵です。しかしそれはその人の人生が安定していて変化が少ないという意味でもあります。人生には時として、それでは収まりきらなくなることもあります。私は、学生から就職したときに手帳が合わなくなって変えました。また、独立した時にも手帳が合わなくなり、フォーマットを変えました。

管理する内容が変われば必要とされる手帳も変わります。接客業のように毎日の積み重ねと行事が大事な仕事もあれば、商品開発のように数ヶ月から数年先を見越して予定を立てる仕事もあります、中には、研究のように具体的にはいつ結果が出るかわからない仕事もありますね。まず注意したいのは管理したい時間の単位の長さと、手帳に書き込むべき情報量の変化。1年を1日の積み重ねとして見るか、1週間、1ヶ月の単位で見るか、それによっても手帳に書くべき内容は変わります。

【持ち運びの有無】

手帳、というのは常に携帯できる程度の大きさのものをさすことが多いですが、内勤で毎日決まったオフィスで仕事をするなら、仕事の手帳は持ち運ぶ必要もないかもしれません。それならしっかり書き込めてノートの代わりにもなるような少し大きめのデイリータイプでもいいでしょうし、常に予定を見渡したければずっと見える場所に記入スペースのあるカレンダーを掲示してもいいかもしれません。中にはちょうどマンスリーの手帳とカレンダーの中間的な、立てかけて置くこともできるカレンダータイプもありますから、固定観念に縛られずにいろいろと試してみるのも良いと思います。


【前向きの手帳と後ろ向きの手帳】

手帳には、時系列的に前と後ろ、未来を切り拓く手帳と過去を慈しむ手帳があります。どの手帳にも両方の役割がありますが、どちらに重きを置くかで選ぶ手帳は変わってきます。未来を切り拓く手帳は、将来なりたい自分や目標を設定し、それを実現するために必要な要素を書き出して、今すべきことを計画する手帳。目標を突破する勇気を与えてくれます。スケジュールやチェックリストなど機能的な記入欄に様々な工夫があるものがあります。これに対し、過去を慈しむ手帳は、今日一日頑張ったことを書き記して積み上げていくことで自分の行動を振り返り、自信と反省をもたらしてくれる手帳です。1日1ページなど比較的記入スペースが広いものが多くなります。

【デジタルツールとの併用】

そして、昨今手帳選びで無視できない要素が、めざましい勢いで使い勝手が向上しつつあるスマホアプリをはじめとするデジタルツールの登場です。もうすでに使っているという方も多いはず。かく言う私も、予定の詳細はスマホアプリを使ってGoogleカレンダーで管理しています。私の仕事は予定変更や仮押さえが多く、一日に複数の案件が入ることも少なくないので、かつてはバーチカルの手帳に細かく書き込んでいましたが、今はその役割は詳細な時間管理や変更・共有が圧倒的に便利なデジタルに移行しつつあります。会社で共有する必要性などから指定のアプリを使わざるをえない人もいるかもしれません。

ですから、もしデジタルカレンダーを使っているのであれば、紙の手帳はデジタルと併用する2冊目の手帳になるかもしれません。

であれば、紙の手帳は、大まかな情報を俯かんしたり、より詳しい情報を書き込んだり、デジタルを補う形で使うと良いでしょう。ですから、手帳は、たとえば大まかに月間を俯かんするマンスリーにするとか、バーチカルタイプでも時間軸をもうすこし緩やかにしてそのぶんメモ欄を増やしたレイアウトにするとか、そういった工夫もあって良いと思います。

【手帳に正解はない】

手帳について、いろいろと書いてきましたが、結論として、これを買えば間違いないという手帳は存在しません、それは、使う人自身の仕事やライフスタイル、環境などによって書き込む内容も見返す頻度もまるで違ってくるからです。

手帳とダイエットには、成功者はいても正解はありません。 大事なのは、どこかに理想の正解を探すことではありません。 自分にあった方法を模索し、無理をしないで続けられるかどうかなんです。

手帳を見直すことは自分の人生を点検することにもつながるとても意味のあることだと思います。ですから、無理に使いこなそうと焦らず、楽しんであれこれ試していただけたなら、その試行錯誤こそが手帳を上手につかうコツなのかもしれないと私は思います。