MoodとPassionを演出するパーソナルなコードレスランプ
幻想的な煌めきで、不確かな存在を解放する「光」
世界有数の生物医学研究機関「ソーク研究所」の設計で知られ、20世紀を代表するアメリカの建築家ルイス・カーン。ハイデガーを思わせる“超越論的視点”から建築を語る彼の言葉に「光は沈黙へ。沈黙は光へ」というものがある。存在しようとする意志を「沈黙」とよび、「光」は全プレゼンス(物質)の賦与者であり、物質は燃え尽きた光だ、というのだ。
長年 “うさぎ小屋”と揶揄されてきた日本の住まいでは、狭い部屋の隅々まで照らし尽くす住宅照明の元ではじめて、自己の存在を確かにする。光のもとに集いがちなのは「お天道様」を好む日本人の習性なのだろうか。一方で、そんな私たちを“解放する光”がある。「ambienTec」のパーソナルコードレスランプ「Xtal」(クリスタル)シリーズだ。
“アンビエント” な空間とフィーリングをつくり出すランプ
カットガラスの端正なフォルムから解き放たれる煌めき。手に取り、自由に持ち歩き、好きな場所に置くことのできる「Xtal」シリーズは、空間を照らし出すための「光」ではなく、そこに灯りがあることで、空間を「場」に変えるパーソナルなコードレスランプだ。
この名が「クリスタル」であることに違和感がないのなら、音楽の話も少し追加しよう(イギリスのDJ、作曲家Aphex Twinの初期作品「Xtal」に由来する)。
「ambienTec」代表、久野義憲氏。「無類の音楽好き」を自称する久野氏は、幼いころから音楽を聴く際に必ずその空間の「照明」を調整していたという。音楽と同じように感情に作用する「光」に対する興味と経験をカタチにした格好だ。
人の行動とあり方を変える、光と構造の調和。
「Xtal」シリーズの光を透過させ拡散するクリスタルガラス。“ランプシェード”と呼ぶには、あまりにも美しいそれ自体の輝きと屹立する強い造形が、存在感に独創性を加えている。7角錐を基にしたシンプル&スタンダードな「Xtal」。ダイヤモンドのようなカットを施しクリスタルガラスの煌めきを増した「Xtal Acrux」(クリスタル アクルクス)。パルテノン神殿の柱を思わせるらせん状のカットを施し、複雑な光の反射を繰り返す「Xtal Becrux」(クリスタル ベクルクス)。
かつて分厚い壁が人間を守ってきた時代を過ぎ、古代建築における柱のオーダー(構成)が「光」を生み、人間はさらなる高度なオーダーに従わなくてはいけないと説いたルイス・カーン。ふたたび壁に囲まれることを前提とした現代の空間は、効率性を優先し一灯の光のもとで過ごすことを暗に強要する。オーダー(本質)という言葉を好んだルイス・カーンは、古典主義を遡りながら、建築を通して人と自然のオーダーを探究した。
「Xtal シリーズ」は、クリスタルガラスにオーダー(秩序)を刻むことで、光とオーダー(構造)を見事に調和させた。そして手の中に入れ持ち歩くことで壁を抜け、私たちのあり方のオーダーをも変えていく。
暗闇を排除した日本の空間にこそ「Xtal」の灯りを。
仕事柄、欧州に訪れることの多い久野氏は、日本と比べ現地のホテルやラウンジ、レストランの方がより居心地がよく、それは空間の明るさに由来しているという。「光は体内時計に働きかけます。私たちは太陽という光のサイクルの中で生きているのだから、それに従うのが自然です。日本人は寝る直前まで明るすぎる光を浴びて、緊張感の続いたまま疲れ果てて寝ているのでは」とその暮らし方について考える。「周囲の明るさに合わせて、目は自分で調整しています。暗がりをじっと見ていると次第に目が慣れて見えてきますよね。まわりが明るすぎると暗闇に我慢できなくなり、つい灯りを点けてしまう」。
「Xtal」の煌めきが、エモーションの温度を上げる。
輝くほどの美しさを「眩い」(まばゆい)と表現することがある。光が目に映えて「目映い」(まばゆい)のだ。強い光を見たときに「目が眩む」のは、目が「暗む」(くらむ)。言い換えれば、目が暗闇になることを意味している。「場」の暗闇に我慢できなくなった私たちは、空間を照らし尽くし、スマートフォンを覗き込み、自ら目をかく乱させている。
心地よい暗闇に、「Xtal」を灯そう。バスルームで、ベッドルームで、熱を孕んだ目差しを向けると、「Xtal」がその姿を浮かび上がらせる。指先が触れてわかる間合いの、目交わいのそのときにも。