「シアタープロダクツ」 CEO / デザイナー 武内 昭さん
EDiT1日1ページ手帳2019年版のコラボレーションのひとつ、ファッションブランド「シアタープロダクツ」のカバーは、スタイリッシュさが人気です。
「シアタープロダクツ」は2001年に設立されたブランドで、武内昭さんがディレクター兼デザイナーを務めています。現在は、2013年AWコレクションからデザイナーに就任した森田美和さんと共にブランドを展開。
ディレクターとしてブランドのコンセプトや企画を考え、マネジメントにも携わり、さらにはデザイナーとしても手を動かすなど、忙しい毎日を過ごす武内さんに、EDiT手帳の印象や使い方、「アウトプットにアナログは欠かせない」という書くことへのこだわりについて、お聞きしました。
TEXT : 武田由紀子 PHOTO : 西 希
「アウトプットは常にアナログ」
手帳やメモ帳の理想形を模索して
シアタープロダクツのコンセプトは、「洋服があれば世界は劇場になる」。エレガントで洗練されたウェアや個性とユーモアに満ちたアクセサリーが多くのファッショニスタから支持されています。設立から20年近くを迎えた今も、ファッションブランドに起こる何気ない所作ひとつひとつをステージに上げ、ファッションについて考え続ける真摯な姿勢が注目を浴びています。
「シアタープロダクツ」の表参道本店は、大きなショーウインドウから光が注ぐ開放的な空間
武内さんは経営面も見ているディレクターでありながらデザイナーも兼任しているため、オフィスにあるアトリエで過ごす時間が多く、スケジュール管理はデジタル化を行っているそう。しかし、「アウトプットは常にアナログ」という武内さんは、自分にとって使いやすい手帳やメモ帳の理想形を模索してきました。
そこで、今回のコラボレーションをきっかけに、新たな手書きツールとして2019年を待たずに、まずは2018年版のリフィルを入れて試してみることに。EDiT手帳の使い心地や感想を教えてくれました。
カレンダーとアイデアノートがひとつになった理想の形
― 実際にEDiT手帳を使ってみた感想はいかがでしたか?
スケジュールはデジタル管理ですが、ふだんのアウトプットはA4のコピー用紙とヴィンテージのノートを使っています。コピー用紙は社内用、打ち合わせにはノートと使い分けていますね。コピー用紙は、必要があればファイルし、いらなければ捨てる。今年に入ってから「ノートがいいよ」と聞いてノートを使っていましたが、実際にEDiTを使ってみて「紙は製本してると持ち運びやすくて便利だな」と改めて思いました。
「手帳を持ち始めたのは仕事を始めてから。最初は、某宅配業者の卓上カレンダーを使っていました」と話す武内さん
実はデジタル管理が苦手で、うまく管理できていないんです(笑)。デジタルのカレンダーって感覚と直結しないので、日々の仕事や流れ、リズムをつかめていない不安をずっと感じていて。
今回、このEDiT手帳を使い始めて、欲しかったマンスリーのカレンダーとノート(デイリーページ)がセットになっていることに感動しました。1日1ページは、ゆったりしたスペースに自由に書けるのがいいですね。あと、表紙のジッパー付きポケットも驚くほど便利で使いやすかったです。
マンスリーはスケジュールに、デイリーページはアイデアメモに
― EDiT手帳を、どんなふうに使っていますか?
僕に必要なのは、カレンダーとアイデアノートの2つです。マンスリーや年間カレンダーで、月ごと週ごと、年単位の仕事の流れを把握し、1日1ページのデイリーページは、特にルールなくアイデアノートやメモとして使います。
たとえば、京都造形芸術大学で授業をしているので、学生がどんなことを発表したかをイラストなどといっしょにメモしたり。気になったニュースを記録して、次の授業の時に学生に「どう思うか」を聞きたいと思っているネタを書いていることもありますね。
デイリーページはアイデアメモとして使う。「このときは、大学の授業メモに使いました」
― カバーのポケットには、何を入れていますか?
シャーペンと消しゴム、あとは仕事で使うメモや生地サンプルなどを収納しています。元々パタンナーをしていたので0.3ミリ、0.5ミリのシャーペンをずっと使っていて、メモもそのままシャーペンで書くことが多いんです。その流れで、手帳にもシャーペンを使っています。愛用しているのは、ロットリングのシャーペンと、MONOの消しゴム。MONOは、やっぱり使いやすいんですよね。柔らかさとねっとり感が。
日常的に使うわけではないですが、コンパスも好きな道具のひとつです。単位に縛られず計ることができて、線も引ける。点と線の関係で、幅が広がっていく感じが好きですね。
筆記具はシャーペンを愛用。「パタンナーをしていた頃からずっと同じです」
“真面目さ”を感じる紙質が、日本人らしくて魅力的
― EDiT手帳の紙を触って、「日本人らしい」とおっしゃったのが印象的でした。
仕事柄、生地に触れることも多いので、手触りや質感は自然と気になります。EDiTの紙は、つるつるすべすべとして真面目な感じがしました。紙にも、人柄というか紙柄があると思うんですよね。
マークスが自社開発したオリジナルの紙で、なめらかさと薄さ、軽さを追求しながら、染み通しや透き通しをおさえる、というこだわりを聞いて納得しました。僕はあまり真面目ではないので、これくらいしなやかな紙がちょうどいいかもしれない(笑)。
店内には、洗練されたウェアやユニークでウィットに富んだアクセサリーが並ぶ
手を動かさないと、何も生み出すことができない
― 手書きで書くことで感じること、たとえばデジタルを使った時のアウトプットへの感覚の違い、思考への影響の違いを感じることはありますか?
僕は、アウトプットは常にアナログなので、手書きでないと何も感じることができません。そして紙がないと何も形にならない。手=脳のイメージです。デジタルはあくまで作業だけで、思考が必要なときは紙とペンを手にして書かないと何もできないですね。
手帳もそうで、何かひとつアナログなものがないと日々のリズムや流れをつかみにくい。スケジュールはデジタル管理にしていますが、実はあまり予定を入れたくないんです(笑)。
デザインや企画などのクリエイティブな部分は、時間管理ができるものではないですから、きちんと時間を確保したいんです。正直、今はデジタルとアナログのせめぎ合いのような状態で。僕ができない分、スタッフにかなりサポートしてもらっている感じですね。
メモに添えられたイラストもユニーク。ニュースで気になったことをメモする日も
― EDiT手帳は、双子の娘さんにも好評だったそうですね。
そうなんです、6歳の娘たちが最近スケジュール調整ごっこにはまっていて(笑)。「この日はどう?」「ちょっと予定が入ってるから、この日にしない?」と、大人の真似をして遊んでいます。家に手帳を持って帰ったら、「パパのブランドだ!」と喜んでくれて。少し貸してあげたら、いろいろ書いてくれました。
子供たちが遊んでいる姿を見ていると、本来は予定が入ってスケジュールが埋まっていくことは、とても楽しいことなんだなと気づかされました。EDiTを使って、娘たちと交換日記をしても面白いなと思いました。
6歳の双子の娘さんがそれぞれ書いたページ。「ドットを熱心に塗りつぶしたり、僕の真似をして洋服のデザインを書いているのがうれしいですね」
EDiT手帳のカバーから「シアタープロダクツ」へ、新たな広がり
― EDiTのプロダクトを通じて広がりを感じたこと、シアタープロダクツの今後の展開に何かプラスになったことはありますか?
手帳もよかったですが、カバーがとても秀逸だったので、同じタイプのブックカバーが欲しいと思いました。シアタープロダクツでつくって、販売したいくらいです。
今、書店や作家とコラボレーションして「シアターブックス」というブランドを展開しています。本をもう一度違うアプローチで広げようと試みる雑貨ブランドです。そこでぜひ、このタイプのブックカバーをつくってみたいですね。
武内さんが使っているシアタープロダクツのEDiT 手帳。ゴールドのブランドロゴマークを配した、クールでスタイリッシュなデザインが印象的です。PVC製で人気のスライドジッパータイプは、筆記具やメモなどを収納することができ、使いやすさも抜群です。
武内さんが話してくれた「手書きでないと何も感じ取れない」「アナログなものがないと、日々の流れやリズムをつかめない」という思いは、人間の本能的な感覚に近いのかもしれません。日々のその時間が、武内さんのクリエイティブの土台になっていることを実感しました。
※ こちらの商品は販売終了となっております。ご了承ください。
シアタープロダクツ表参道本店
東京都渋谷区神宮前4-26-24
12:00~20:00 不定休
Profile
- 武内昭 Akira Takeuchi
シアタープロダクツ CEO/デザイナー
エスモードジャポン卒業後、「コム デ ギャルソン」のパタンナーを経て、2001年「シアタープロダクツ」設立。デザインに加えてディレクターとして会社の経営面も見ている。現在、京都造形芸術大学空間演出デザイン学科准教授としても活躍。
【シアタープロダクツ THEATRE PRODUCTS】
「洋服があれば世界は劇場になる」をコンセプトに2001年設立。エレガントで女性らしいウエアと、ユーモアとウィットに富んだアクセサリーなどを通して、ファッションブランドに起きるすべての出来事を舞台にあげてスポットライトを当てる。デザイナーを武内昭と森田美和が務める。