不安定なこの時代を駆け抜ける、足回りのよい手帳カバー
力強い造形に対峙して生まれる、畏敬と違和感。
美食の国、アモーレの国、アズーリの国、イタリア。そして、コロッセオからピサの斜塔、ミラノ大聖堂まで、長きにわたりダイナミックな建造物をつくり上げてきた、建築の国でもある。時に傲慢な“maschilismo”すら感じさせる巨大建築を受け入れながら、美食を満喫し、愛を語り、人生を楽しんできた。
では。毎日手に触れ、オフィスで、車の中で、重要事項を書き込み、タイムスケジュールを管理する手帳の「カバー」として、私たちは“この造形”を受け入れ、日々を楽しむことができるだろうか。
手帳に必要なすべてを“外側”のカバーに収納する大胆な発想と、オーガナイザー自体を造形として成立させるデザイン設計。「Find Your Inspiration」をものづくりの理念に掲げ、フォトアルバム、レザーアイテムからリネンバッグまで、小さな発見に“デザイン思考”を投入しプロダクトを生み出している「Susylabo Inc.」と「MARK’STYLE TOKYO」がコラボレートして生まれた手帳カバーである。
イタリアの美意識が生んだ高機能素材「アルカンターラ®」
ブッテーロ、ミネルバボックス、ナポレオンカーフ。美しい発色と質感で、他の追随をゆるさないレザーを産出するイタリアにあって「レザーより高級」と言わしめ、フェラーリ、ランボルギーニ、マセラッティなど、ハイエンドなラグジュアリー・カーブランドが「私たちのパートナー」と呼び、シート素材として採用する人工皮革がある。「アルカンターラ®」は、最高級スエードやヌバックにも並ぶきめ細かなテクスチャーと、なめらかな肌触りを実現しながら、高い耐久性と耐光性、難燃性を持つ高機能素材だ。レザーよりもはるかに軽く、発色性にも優れている。
個人のモノであり、また人の目にもさらされる「手帳」という道具は、カラーやデザインのアウトルックに、嗜好性と“行儀のよさ”を求められ、またスケジュール管理における機能性を求められ、滲みや裏写りなどの品質のクオリティを求められる。そして、これらの要求をまとめ上げた、“実はタフ”なプロダクトだ。レザーより強く、軽く、美しい発色を実現したこの素材を使わない手はない
イタリアの高機能素材を乗りこなした、日本の革手袋製造の技術
「クリオロ アルカンターラマルチ手帳カバー」は、エネルギッシュなオレンジ、イタリアの“アズーリ”を彷彿させるブルーを含む5色のアルカンターラをラインアップ。その「内側」には、高級レザーを採用した。厚みや強度、伸縮性など、“似て非なる”ふたつの素材を合わせ、縫製し、このデザインを形成するにあたり、きわめて高い技術を必要とした。これを実現したのが、東かがわ市に拠点を置く革小物専門の製造工場だ。香川県東かがわ市は軍需に端を発した革手袋の一大生産地であり、国内生産のシェアは約90%を占める。非常に高い技術を要する革手袋製造のノウハウを、アルカンターラ×レザーに落とし込んだ。
アイデアを設計し、プロダクトに落とし込むデザイン思考。
フロントカバーを占拠するように配置したペンオーガナイザー。最近のビジネストレンドを予見したかのように、4色ボールペンやスティック型文具を収めるヴォリュームは、力強い造形としてデザインのインパクトとなり存在している。このヴィジュアルを見たら、だれもが思うのではないだろうか「手帳を開いたらどうなるのだろうか?」と。この疑問をスマートに解決しているのが「Susylabo Inc.」の“デザイン思考”だ。巨大なオーガナイザーを一本縫いするために仕込まれた強度のある芯材が、平面を維持。オーガナイザー自身がクッションとなるため、ペンを入れない状態でも安定感をキープする。さらには、ペンのポジションをあらかじめ固定するため、力を分散し「どこに何本入れても」安定した書き心地を実現した。また、必要なアイテムを網羅する「5本分」という数字にもそのデザイン思考が生かされている。
人の行動を変える、建築的ものづくり
美容師のシザーケース・庭師のガーデニングポーチから着想したというこの手帳カバーには、建築をバックグラウンドにした「Susylabo Inc.」の「Find Your Inspiration」というマインドが活きている。バッグの中からペンケースを探す手間すら惜しみ、開いて即座に書き込めるスピード感。ジッパーなどを使い手帳カバーで大切に「包み込まない」という、潔い決断と動線設計。すべてを“外側”に配したことで、使う人の機動性と対応力を高めている。まるで、上質なドライビングシューズがコーディネートを軽快に仕上げるように、官能的なイタリアのスポーツカーが人生を楽しませるように、日常に躍動感を演出する。さあ、この手帳に小さな発見と明日の冒険を書き込もう。