「書くことで、役と向き合う」 映画『白の花実』美絽×池端杏慈×蒼戸虹子インタビュー
日々の思考や感情を書き留めること、そして日記をつけることは、自分自身と向き合うための大切な時間。“人生というストーリー”を編集していくための手帳&ノートブランド「EDiT(エディット)」が大切にしてきた、日々を記録する、「書く」という時間は、映画『白の花実』の中でも重要なモチーフとして描かれている。
今回、映画『白の花実』とのコラボレーションとして、映画のロゴを配した「EDiT」のスペシャルコラボカバーノートを制作。その取り組みをきっかけに、本作で“日記”を通して揺れ動く感情を表現したキャスト、美絽、池端杏慈、蒼戸虹子にインタビューを行った。
とある寄宿学校を舞台に、ひとりの生徒の不在をきっかけに心の波紋が広がっていく本作。役の感情を書き留め、言葉と向き合いながら人物像を深めていった三人に、映画の中と現実を行き交う“書く”という行為について話を聞いた。
TEXT:折田侑駿 PHOTO:澤田もえ子
役と向き合うための、静かな時間

──本作は特異な世界観を持った作品ですが、“学園もの”でもありますね。実際に学生でもあるみなさんは、『白の花実』の世界にすんなりと入っていけましたか?
美絽:たしかに学園ものではあるのですが、やっぱり自分たちの学生生活とはちょっと違いました。かといって、溶け込むのが難しいわけでもなかったかな。
蒼戸:撮影に入る前、半年間くらい本読みやダンスのレッスンを重ねたんです。じっくりと時間をかけて、演じる役のことや作品への理解をみんなで深めていきました。そういう意味では、自然と映画の世界に入っていけた気がしています。
美絽:うんうん。私もみんなとレッスンを重ねたのが大きかった。あと、坂本(悠花里)監督とお話しする機会をたくさんいただけたのも嬉しかったです。『白の花実』の世界に溶け込んでいくための準備に時間をかけられたのが、カメラの前に立つうえでの自信につながりました。

池端:ふたりが言うように、クランクインまでの時間は本当に大切で特別なものでした。私も坂本監督といっぱいお話しできたのが大きかったです。栞というキャラクターや作品の世界観を掴んでいくために、なくてはならない時間でした。だから撮影にはリラックスして臨むことができましたね。カメラが回っていないときには、美絽と虹子と何でもないおしゃべりをしながら笑い合ったりして。素敵な環境の中で、役の関係性や学園の空気を作っていくことができました。
感情を理解するために、書く

──劇中には重要なアイテムとして“日記”が登場します。役作りの一環として、役の気持ちになりきって日記を書く方もいると聞いたことがあります。みなさんはいかがでしたか?
池端:栞として日記を書くことはありませんでしたが、彼女の感情の動きに関しては文字にして理解を深めていきました。坂本監督がシーンごとの“感情表”のようなものを作ってくださって。
美絽・蒼戸:あったあった。
池端:杏菜、栞、莉花たちが、それぞれのシーンでどんな気持ちでいるのか。それが一目でわかる表だったんです。これを参考に、さらに言葉を綴って自分なりに役の感情を掘り下げていきました。
──“書く”という作業が重要な位置を占めていたのですね。
美絽:各キャラクターの感情をまとめた表をいただいて、それをもとに台本にも書き込んでいきました。役の感情を整理したあと、実際にこれを表現するためには何をしなければならないのかを考えなければならなかったんです。セリフの言い方とか、細かいことも自分なりにメモしていた気がします。
蒼戸:私はこれが初めての映画の現場だったので、ああやって書くことが必要でしたし、すごく重要だったと感じています。演技をするうえで何よりも莉花の心の動きが大切だったので、彼女がいったい何を抱えているのか、文字にすることで整理し、私自身の理解につなげていきました。

劇中で日記をめくるシーン
──劇中に登場する“日記”は、みなさんにとってどのようなものでしたか?
蒼戸:あの日記は莉花のものなので、目を通しました。自分の内面をうまく表に出せない彼女だからこそ、あそこに全てが詰まっていたような気がします。綴られている言葉たちに触れていると、莉花の感情にも触れられるようでした。私にとって役を演じる手がかりとなるものでした。
──どんな言葉が綴られていたのか、気になります。
蒼戸:普段からギターの弾き語りで曲を作ったりしてSNSにあげているのですが、それを聴きながら助監督の方が書いてくださったそうです。だから私自身が書いたわけではないのですが、自分の内面とどこか重なる部分があるなって。
──助監督の羽蚋拓未さん。素晴らしいですね。
蒼戸:すごく嬉しかったです。

美絽:私も莉花の日記を読みました。そして杏菜もまた、莉花の表面的なところしか見えていなかったのだと痛感しました。周囲の人々が捉えているイメージと、実際の人物像は必ずしも一致するわけではない。改めてそう思いました。普通は人の日記って見れないと思うので、今回は役をとおして特別な体験をさせていただきました。
池端:私も読んだのですが、それは劇中で初めて栞が莉花の日記を読むシーンの撮影をするタイミングでのことでした。私自身の心が揺れて、リアルな感情の動きをお芝居に乗せられた気がしています。日記はとても個人的なものなので、押し花のページとか、あの中に莉花のキャラクターが表れていました。それらに触れたときの感触を、自然と栞の演技につなげられました。

──池端さん自身と栞の感情がまさに重なったんですね。
池端:そうですね。初めて日記を読んだ瞬間にだけ感じられるものがあると思うので、この生々しい感情を抱えたまま演じていました。だからやっぱり苦しかったです。
書くことは、自分と向き合うこと

──みなさんは日常生活を送る中で日記をつけたりしていますか?
美絽:毎日ではありませんが、何か思ったことがあるときには書き留めるようにしています。書くことが自分の感情を整理することにつながるので。
蒼戸:私はこのお仕事を始めてから、できるだけ書き留めるようにしています。何か思うことや考えることがあっても、そのままにしていたら忘れてしまうんですよね。自分がいま大事にすべきものや、やるべきことについても。だから日記とはまたちょっと違いますが、なにかしら書き続けてはいます。
池端:私は、嬉しいことや悩んでいることがあるときは言葉として残すようにしてはいるのですが、スマホ上のメモ機能に残すことが多いです。そのときの感情もきっと文字に乗るだろうから、自分の手で紙に記していくというのは、特別な体験だと思います。美絽と虹子の話を聞いていてそう思いました。

映画に登場する日記帳
──スマホでメモを残すのは便利ですが、やっぱり手書きだと意味が変わってきますよね。みなさんにとって、“書く”という行為はどのようなものでしょうか?
美絽:自分のことを客観視できる行為だと思います。書いてみてわかること、文字にしてみて初めてわかることがある。「私って実はこんなことを考えていたんだ」と、自分でも分かっていなかった美絽という人間の一面を知ることにもつながります。自分を知るために大事なものなんです。
池端:私にとって書くことは、心を落ち着かせる行為です。心がざわざわしているときって、小さな失敗をしてしまいがちなんですよね。落とし物をしたり、忘れ物をしたり、遅刻してしまったり。落ち着かない心の状態が日常生活の全部に影響してくる。でもそういうときに何か書いてみると、その瞬間だけはいろんなことを忘れて、集中できます。すると自然と気持ちも落ち着いてきて、リラックスできる。これが書くことの特別な効果だと思います。
蒼戸:私はやっぱり、忘れないために書きます。こうして何気ない日々を過ごす中でも、実は感じていることがいっぱいあるなって。一時的に何か強い感情が生まれることもあります。でも、それらは時間が経つうちに、どんどん曖昧なものになってしまっていく。だから書きたいなって。書くことで自分の想いや感情を残していきたいです。忘れないために。

プロフィール

美絽
2008年生まれ、東京都出身。スカウトを機にデビューし、サントリー天然水「スパークリングレモン」などの多数のCM や、BUMP OF CHICKENの「 Gravity」、ASIAN KUNG FU GENERATIONの「星の夜、ひかりの街 (feat. Rachel & OMSB)」など話題のMVに出演。その瑞々しい演技と独特な存在感で注目を集めた。モデルとして雑誌や広告に数多く出演。『白の花実』が映画初出演にして初主演となる。
池端杏慈
2007年生まれ、東京都出身。2021年にファッション誌「ニコラ」のオーディションでグランプリを獲得し、専属モデルを務めた。2023年には、ポカリスエットのCMキャラクターに抜擢され、その後2025年にはゼクシィ 15代目CMガール、第104回全国高校サッカー選手権大会応援マネージャーに起用され、注目を集める。ドラマ「オールドルーキー」(22/TBS)で俳優デビューを果たし、映画『矢野くんの普通の日々』(24/新城毅彦監督)で映画初出演。直近の出演作に主人公の親友・高遠麗を演じた『ストロベリームーン 余命半年の恋』(25/酒井麻衣監督)などがある
蒼戸虹子
2009年生まれ、ハワイ出身。モデルとして活動後、2024年より俳優活動を開始。シリーズ横溝正史短編集Ⅳ「悪魔の降誕祭」(24/NHKBS)でデビュー後、「DOPE 麻薬取締部特捜課」(25/TBS)では主人公の妹・結衣役を演じ、連続ドラマ初出演を果たす。RADWIMPS「正解」MVも話題になるなど、多岐にわたり活躍。
CREDIT
Styling for Miro:Ishikawa Naoto[dust free production]
Hair&Make-up for Miro:YUKA TOYAMA
Styling for Anji Ikehata:Ishikawa Naoto[dust free production]
Hair&Make-up for Anji Ikehata:Eri Ito
Styling for Nico Aoto:Shoh Sasaki
Hair&Make-up for Nico Aoto:Naoki Ishikawa
映画『白の花実』×「EDiT」スペシャルコラボノート
Special Collaboration

映画『白の花実』のロゴを配した、人生を編集するノート「EDiT」のスペシャルコラボカバーノートを制作。劇中で象徴的に描かれている“日記”というモチーフと、日常の中で言葉を書き留め、自分と向き合う「EDiT」の想いが重なる1冊。
※本ノートは非売品。SNSで実施するプレゼントキャンペーン限定アイテムです。
本ノートは、マークスのカスタマイズサービスを利用して制作しています。細かな図柄についても、AIデータでの入稿により、同一デザイン10点以上からきれいに印刷することができます。
詳しくは、マークスのカスタマイズサービスについてのページをご覧ください。
作品情報
映画『白の花実』
12月26日(金) 新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開

美絽 池端杏慈 蒼戸虹子
河井青葉 岩瀬亮 山村崇子 永野宗典 田中佐季
伊藤歩 吉原光夫 / 門脇麦
監督・脚本・編集:坂本悠花里
プロデューサー:山本晃久
製作・配給:ビターズ・エンド
制作プロダクション:キアロスクロ
英題:White Flowers and Fruits
©2025 BITTERS END/CHIAROSCURO
2025年/日本/カラー/DCP/5.1ch/ビスタ/110分
公式HP:https://www.bitters.co.jp/kajitsu/
公式 X:@shirono_kajitsu #白の花実
公式Instagram:@shiro_no_kajitsu


