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#04 クリエイターインタビュー韓国クリエイタースペシャル!韓国発「ブランチブラザー」“ゆるかわ”キャラの背景に込められた、意外なメッセージとは?

韓国クリエイタースペシャル!韓国発「ブランチブラザー」“ゆるかわ”キャラの背景に込められた、意外なメッセージとは?

クリエイターの方々に作品制作の裏側や時間術についての話をお聞きする“クリエイターインタビュー”シリーズ。第4回目は、韓国クリエイタースペシャル! 今、注目の韓国ブランド「ブランチブラザー」をはじめとする雑貨を生み出した「ロマネ」社の皆さんをご紹介します。

「ブランチブラザー」をはじめ、「ドナットドナット」「モナグスタ」など、さまざまなキャラクターを生み出しているデザイナーのキム・ウンジさん、生産管理を行うアン・ウンミさん。マークスでも人気の「ブランチブラザー」のキャラクターに込めた思いやデザインへのこだわりなど、代表のキムさんも参加いただき、お話を伺いました。

「きょとん」とした表情に思わずクスッ。愛くるしい表情が魅力の「ブランチブラザー」

「ブランチブラザー」の人気キャラクター「ダック」
「ブランチブラザー」の人気キャラクター「ダック」

「ブランチブラザー」のキャラクターの魅力は、見れば見るほど心惹かれるその表情。まんまるな目にぽってりした唇。「きょとん」なのか「ぼんやり」なのか、なんとも言えない表情に、肩の力が抜けて笑みがこぼれます。

そばかすがチャーミングな「トースト」や、ピンクのほっぺが特徴の「ダック」、大きな目が印象的な「オウル」、いつも仲良しの「ペンギン兄弟」など、個性豊かなキャラクターたちは、慌ただしい日常に癒やしとゆとりを感じさせてくれる存在です。

忙しい日々の中で、1杯のコーヒーを飲んでホッとくつろぐひととき。そんな日常の中の余白を表情やフォルムで体現しているからこそ、人々をとりこにしてしまうに違いありません。

「小さな幸せを見つけてほしい」。慌ただしい日常を送る現代人への思いを込めて

――ユニークな表情が魅力的の「ブランチブラザー」は、どのように生まれたのでしょうか。経緯や背景について教えてください。

代表・キムさん:「ブランチブラザー」は、韓国女性のライフスタイルから着想しました。最近、韓国ではブランチを楽しむ女性の姿を多く見かけます。コーヒーやトースト、マフィンなど、好まれるメニューはさまざまですが、お店の雰囲気などを重視している様子から、「忙しくても余裕を見つけたい」という気概を強く感じるようになりました。

そんな現代人の姿を反映して生まれたキャラクターたちは、「私たち自身」なんです。やるべきことから離れ、「束の間の余白」を堪能している。そのひとときの表情や感情をキャラクターで表現し、同時に、「日常の中の小さな幸せを感じてほしい」という思いも詰め込みました。

写真左は、ディレクター ウンミさんが思い入れのあるシリーズ「モナグスタ」。右はぷっくり感がたまらないベア「ドナットドナット」。
写真左は、ディレクター ウンミさんが思い入れのあるシリーズ「モナグスタ」。
右はぷっくり感がたまらないベア「ドナットドナット」。

――さまざまなモチーフのキャラクターが登場していますが、どのキャラクターが最初に生まれたのでしょうか?

代表・キムさん:最初に登場したのが「トースト」です。ブランチでは、コーヒーとともにトーストを注文するのがスタンダードなので、イメージしやすいモチーフを初めにデザインしました。

その後は特にブランチに関連づけず、トレンドを調査した上でキャラクターを生み出しています。黄色いアヒルの「ダック」も、韓国でアヒルモチーフの人気の高まっていた時期に合わせて登場しました。他のシリーズでも同様ですが、「現代人がどのような興味を強く持っているのか」というニーズをしっかり調査した上で、キャラクターに反映するよう意識しています。商品化した後も、消費者の反応を見ながら「多くの人に受け入れられる商品作り」に重きを置いて展開しています。

――それぞれのキャラクターの可愛らしい色使いも印象的ですが、こだわりなどはあるのでしょうか?

キム・ウンジさん(以下、ウンジさん):基本はパステルカラーで選んでいます。「モナグスタ」や「ダック」など、特にインパクトを与えたいと思ったときは、ビビットなカラーを使うことも。

特徴としては、目と唇に鮮やかな色味を合わせることが多いです。例えば、オレンジの中でもどのニュアンスのオレンジを使うのかといった、ロマネ独自のこだわりが伝わるように心がけています。

左:デザインチーム長のキム・ウンジさん、右:縫製室長:アン・ウンミさん。ロマネ社のオリジナルカラーを使ってキャラクターをデザイン。
左:デザインチーム長のキム・ウンジさんさん、右:縫製室長:アン・ウンミさん。
ロマネ社のオリジナルカラーを使ってキャラクターをデザイン。

――特に思い入れのあるキャラクターはありますか?

アン・ウンミさん(以下、ウンミさん):思い入れが強いのは、やはりブランチブラザーで初めて登場したキャラの「トースト」です。特に目と唇の立体感をどう表現するかにこだわりました。個人的には黒いキャラの「ポムポム」も好きです。

ウンジさん:「モナグスタ」に思い入れがあります。シンプルでありつつ、可愛らしい表情を出すために試行錯誤して作りました。「バニー&パピー」のシンプルでモダンな雰囲気もお気に入りです。

デザインへの思考を深めるのは移動時間。気になったものはカメラで「その瞬間の感情と状況」と一緒に記録。

デザインチーム長のキム・ウンジさんの作業風景。デスク周りにお気に入りのキャラクターアイテムが。
デザインチーム長のキム・ウンジさんの作業風景。デスク周りにお気に入りのキャラクターアイテムが。

――時間の使い方についてお伺いします。日常生活の中で意識してやっていることや、いつも決めているルーティーンはありますか?

ウンジさん:私は写真を撮って記録に残すことが多く、外を歩いている時も、印象的な形の雲や、看板を見つけたら撮影するようにしています。撮った写真は実際にキャラクター化した時のイメージを膨らませるために顔をつけてみるなど、加工してストックすることも。写真は、その瞬間の感情や状況も記録できる存在。コンセプトを考えるとき「どのようなメッセージを消費者に伝えるか」を検討するために役立てています。

決まったルーティンは特にないですが、寝る時間以外はほとんどデザインのことを考えています。特に移動時間や一人の時間は深く集中できるので、記録した写真を見返すなど、デザインの整理時間に充てています。考えがうまくまとまらないときは、デザインから思考を切り離して、他の作家さんの制作物や作品を見るなど気分転換を。現代アーティストの河井美咲さんはユニークな表現技法を持っており、見ていてとても楽しいです。

ウンミさん:朝起きたら、コーヒーを1杯飲むのがルーティーンです。制作の仕事をするときは、1週間前にサンプルを作るようにしていますが、進行が行き詰まってしまったときは、PinterestやInstagramでリサーチして、インプットすることを意識しています。外に出て、最近の人の興味やトレンドを観察することもありますね。

プロに聞く韓国トレンド。手書きタッチのイラストアイテムが人気!?

――せっかくなので、最後に韓国のトレンドも教えていただけたらと思います。最近、韓国ではどのような雑貨ブランドやキャラクターが流行っているのでしょうか。

ウンジさん:3、4年前は、カカオトークやLINEの公式キャラクターが人気でしたが、最近では、サンリオの人気が高まっており、リビングやダイニングアイテムとのコラボ商品が多い印象です。それとは別に、最近韓国では手書き風のタッチがトレンドで、作家さんとコラボしたダイアリーや雑貨の販売も多いです。手書きの作品は「独自の表現」が伝わるのが魅力ですね。

――そんなトレンドのアイテムやロマネ社さんの商品に出会える、韓国でのおすすめ文具・雑貨スポットを教えてください。

ウンジさん:弘大(ホンデ)の「object(オブジェクト)」は小物系の品揃えも豊富で、幅広いラインナップなので人気が高いです。他には、明洞(ミョンドン)の「ALAND(エーランド)」や光化門(クァンファムン)の「HOTTRACKS(ホットトラックス)」もオススメですよ。

マークスから発売中の「ブランチブラザー」アイテムたち
マークスから発売中の「ブランチブラザー」アイテムたち

――最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

全員:(声を揃えて)今後とも「ブランチブラザー」をよろしくお願いいたします!

――最後に、笑顔で力強くメッセージをくださったロマネ社のみなさん。魅力あふれるキャラクターへのこだわりや、誕生までのエピソードを聞いて、愛着が深まりました。素敵なお話をありがとうございました!

profile
キム・ウンジさん

キム・ウンジさん

ロマネ社のデザイナー・チーム長。スペインの鮮やかな色彩に惹かれ、IED MADRID (Istituto Europeo di Design MADRID)でプロダクトデザインを学ぶ。卒業後、韓国に戻りデザインの仕事に従事する。

アン・ウンミさん

アン・ウンミさん

ロマネ社のディレクター。韓国の玩具会社での勤務を経て、2003年より代表・キムさんともに仕事をはじめる。デザインが出た後、パターン、サンプル作成を経て中国に製造を依頼。クオリティーの高い物作りを目指し、製造工程の生産管理を担う。